せっかく上のクラスに入れてもらえた英語でしたが、帰国後最初のテストは中クラスのレベル。留学したからと言って学校の英語の授業で良い成績が取れるわけではないと聞いていたので、あまりショックではありませんでした。元々落ちこぼれだった自分が英語とは言え突然成績が上がるなどとは本当に思っていませんでしたし、自分のペースでやってクラスを落とされるなら仕方がないと開き直っていました。
しかしこれは杞憂に終わりました。
その次の試験から英語の順位は急上昇し、数回で一桁台、最高で5位にまで上がりました。もちろん英語だけです。念のため、笑。他の教科は相変わらずの成績だったので、英語だけで合計点をつり上げて、総合ではいつも真ん中くらいにいたと記憶しています、苦笑。
なぜこんな短期間で、大した努力もせずに百数十人もごぼう抜きするようなことが起きたのか。
その理由は、高校留学と受験英語の相乗効果でした。留学中に感覚で覚えた英語の多くを、高校の授業で文法や構文を学ぶことで改めて整理して自分の中に取り込むことができました。また留学中に身に付けた英語を基礎として、その上に高校で教わる英語を積み増すことができたとも思います。
更に効果的だったのは、意外にも受験用に学校で繰り返しやらされた一問一答式の問題集でした。
2年生からは、毎回英語の時間に小テストがありました。範囲は1回あたり構文の問題集を見開きで10ページほど。1冊あたり最低2周は使っていたと思います。繰り返し繰り返し構文をやり込み、中学の教科書同様に構文を暗記して行きました。基礎となる英語力は留学で備わっていましたから、新しいものを覚えるのも留学前よりずっと楽になっていました。そのため以前よりもずっと少ない勉強量で、英語の成績が飛躍的に伸びました。
私は高校卒業後はアメリカの大学に進学を決めていたため、日本の大学受験用の英語の勉強は「受験」という意味ではそれほど大きな意味を持ちませんでした。しかし受験英語で文法や語彙を増やしたことで表現の幅が広がりましたし、アメリカの大学在学中はレポートや試験で困ることも文法を直されることもほとんどありませんでした。また大学進学のために受けたTOEFLで一発で志望校の合格ラインをクリアできたのも、この総合的な英語学習のお陰だったと思います。
「日本の英語教育は文法ばかりで実践的じゃない。だから中高6年間、大学も入れたら10年間英語の勉強をしても聞けない、話せない。」
巷でよく聞く、「日本人が英語ができない理由」です。しかし、本当に日本の英語教育はそんなにダメなのでしょうか。
確かに私は高校で1年間の留学と言うチャンスを与えられた果報者ですが、高校留学だけだったなら私の英語力がここまで伸びることはありませんでした。私の英語力は、中学英語で土台を築き、高校留学でそれを固め、大学受験英語で積み増して作ってきたものです。日本の学校での英語教育が無ければ、得ることのできなかった力です。
中学英語があったからこそ高校留学の1年間を最大限に活用でき、大学受験英語があったからこそアメリカの大学でも困らないレベルの英語力を身に付けることができたのです。
私は日本の中学英語も大学受験英語も、留学と同じくらい素晴らしいものだと信じています。日本の英語教育と日本人の英語偏見についてはまだまだ書き足りませんが、それはまたの機会にて。
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