こんにちは、英語同時通訳者でオンライン英語・通訳講師の山下えりかです。
6月24日から6月30日まで、韓国のムジュにてテコンドーの世界選手権が開催されました。テコンドーの国際団体であるワールドテコンドー(世界テコンドー連盟から改称)が主催する国際大会の中でも最大規模の大会です。参加国は183ヵ国、参加選手は973人に上ったとのこと。開会式は韓国のムン・ジェイン大統領が出席されたり、北朝鮮のテコンドー演武団がパフォーマンスを披露したり、その他数多くのとても豪華な演出で盛り上がりました。
この大会に付随して、ワールドテコンドーの総会やセミナー&ワークショップが開かれました。今回はこれら諸々の通訳と国際大会の勉強を兼ねて、6月22日から28日まで韓国に出張して来ました。私に国際大会の勉強が必要な理由は、2019年にテコンドーの主要国際大会のひとつであるグランプリシリーズが日本で開催されることと、もちろん、2020年のオリンピックがあるからです。
まずは世界テコンドー連盟(WTF)がワールドテコンドー(WT)に改称した理由が英語的な理由だったので、ご紹介します。その理由は、世界テコンドー連盟(World Taekwondo Federation)の略称だった”WTF”にあります。実はこの”WTF”という略語、SNSをはじめネットで頻繁に使われるスラングで、”What the *uck.”という意味があります。口語で悪態をついたりする時に使う、放送禁止用語のひとつです。SNS等でこの略語スラングを使う人が年々増えているため、あまりの印象の悪さからFを取ってWT(ワールドテコンドー)にすることにしたのだとか。6月23日に開かれたワールドテコンドーの総会で突然発表されたので、関係者は未だに慣れません(笑)
さて、これまでワールドテコンドー訪問のために1~2泊でソウルへ出張することは何度かあったものの、大会への同行もソウル以外の韓国も初めてでした。人生初のスポーツチームの海外遠征への同行...早速、初日から洗礼を受けました_| ̄|○
大会が開催されたムジュは山間部にある年代もののスキーリゾート。アジアのハブ空港である仁川空港から高速バスで4時間かかります。東京―静岡(高速バス)より遠いのです。
朝4時半頃に自宅を出てホテルに着いたのが午後4時過ぎでした。やっと落ち着けると思って部屋に入ってみると空調のききが恐ろしく悪く、暑い。窓を開けて外からの風を入れるほうが幾分かましな状態。ちなみにこの日のムジュの最高気温は34度でした。バスタブはあるもののシャワーカーテンがないバスルームは、シャワーで床が水浸しになる前提でゴムサンダル完備。シャワーも洗面台も蛇口をひねってから5分ほど待たないとお湯が出ない。虫が怖くて毎年この時期は自宅でもビクビクしながら過ごしているのに、部屋に入って早速小さなGらしき虫に遭遇(泣)
そして度々つまるトイレ。韓国のトイレは紙を流せないところがほとんどなのが辛いところ。公共の場やお店のトイレには大きなゴミ箱があり、使用済みの紙はそこに捨てるのがルールです。ホテルは大丈夫な場合が多いので普通に流していましたが、施設が古かったせいか流れが悪く苦労しました。帰国して成田のトイレで何の気兼ねもなく紙を流せたのがどんなに嬉しかったか...(苦笑)
しょっちゅう試合に同行しているスタッフさんからはもっとずっと酷い環境の国の話も聞いたので、これくらいで凹んではいけないとは思いつつも...しんどかったです(泣)
そんな中で唯一救いだったのは、今回の部屋がスタッフの栄養士さんとの相部屋で、選手や他のスタッフさんの出入りが多かったため賑やかで楽しかったこと。2LDKにバスルームが2つ付いたファミリータイプの部屋にはキッチンもあり、相部屋の栄養士さんは選手のために毎日食事やお弁当を作っていました。減量サポートかと思ったら、こういう時には試合前日に計量を済ませた選手の体力回復のための「補食」と呼ばれる食事を作るのだと教えてくれました。私は通訳者という仕事の性質上、役員について仕事をすることがほとんどで選手や他のスタッフさんと交流する機会が無いので、現場の空気に触れられたのはとても勉強になりましたし良い経験になりました。
さて私はこれまで1年間ほどテコンドーに関わってきましたが、実は生で試合を見るのは今回が初めて。いきなり国際レベル、それも最大規模の大会を見ることができたのは幸運でした。残念ながら今回日本チームはメダルに届きませんでしたが、一流のアスリートの試合を間近見て大会運営の流れや中身を見ることができたことは、とても有意義でした。
今回の出張のメインだったワークショップとセミナーでは、大会運営のための様々な準備の仕方やスポンサーへのアプローチの仕方等を学ばせてもらいました。私の立場はあくまでも通訳者なので私自身が運営に直接関わる部分はあまりありませんが、今後海外とのやり取りが増えて行く中で大会の中身について知らなければ困ることがたくさん出てくると予想されるので、私自身にとってもとても重要な機会でした。
良くも悪くも初めてづくしだった出張を無事終え、とりあえずほっと一息。世界選手権ほどの規模にはならないにしろ、大きな国際大会やオリンピックの準備運営にこれからも通訳者として関わって行けることはとても楽しみです。
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