【私が通訳になるまで30】通訳学校と通訳科1(授業初日の衝撃)

 

 こんにちは、英語同時通訳者オンライン英語・通訳講師の山下えりかです。

 

 今回は久々の【私が通訳になるまでシリーズ】の更新です。今回でなんとシリーズ30本目となります。結構書いたなあと思うと同時に、そろそろ完結させたいなとも思っています。予定ではあと10本ほどで完結なので、ここからはできるだけテンポよく更新して行きたいと思います。

 

 今回からは、サイマルアカデミー通訳コースの通訳科での話です。入門科(現・通訳Ⅱ)から通訳科(現・通訳Ⅲ)への進級には実に多くの変化がありました。

 

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 授業に直接関係のないことでは、入門科までは平日の午前中の授業で新宿校に通っていたのが、通訳科からは平日の夜に虎ノ門校に通うことになり、授業のある日の生活リズムが大きく変わりました。6クラスあった入門科は受講校も時間帯も選択肢に幅がありましたが、通訳科は虎ノ門校での2クラスのみとなり選択の余地がなかったためです。(現在はサイマルアカデミーの新宿校と虎ノ門校は統合され東銀座にある東京校になっています。)

 

 具体的なスケジュールの変化はこんな感じでした。

 

入門科まで:

  • 朝7時頃に静岡の家を出てバス→在来線→新幹線→中央線で9時半頃に新宿
  • 授業終了後は東京駅から高速バスで最寄りのICまで行き、そこから徒歩(約20分)で帰宅(自宅へ着くのは夕方)

 

通訳科以降:

  • 午後4時頃静岡の家を出てバス→在来線→新幹線→山手線→地下鉄で6時頃虎ノ門
  • 学校の近くの定食屋さんで仕事終わりのサラリーマンに混ざって夕食を済ませて7時前に学校へ(このおかげで出先での一人ご飯が平気になりました・笑)
  • 授業終了後は9時台の新幹線に乗り11時頃実家の最寄り駅に到着、そこから車(両親が迎えに来てくれました)

 

 いずれにせよ定職に就いていなかった学生の身分だったと言うのと、実家の家族の強力なサポートがあってこそ可能だった週2日の強行スケジュールですが、この朝型から超夜型への変化は20代半ばの若い体にも最初のうちはかなり堪えました。

 

 慣れない時間帯に慣れない乗り継ぎで学校に着く前に疲れ、極限の緊張状態で迎えた通訳科初日。授業が始まると同時に緊張の限界を軽く超える衝撃に襲われました。何と、初日から先生の都合で代講。(秋は通訳者の繁忙期のため担当講師が売れっ子の通訳者だと初週であっても代講になることはしばしばありました。)しかも代講の講師は、入門科でも何度か代講に来ていた(私が苦手だった)超スパルタの先生でした。 

 

 入門科での代講クラスの際には「緊張する」という生徒の声を聞き「わざとですよ」とニッコリと笑っていた、プレッシャースタディを得意とする先生です。授業初日ということで十分緊張はしていましたがさすがにその心の準備はできていなかったので、緊張しすぎて指先が冷たくなりました。

 

 そんな私の心情などお構いなしに先生は、初日にもかかわらず自己紹介の時間をとることもせずに単語リストを配布し、「では、始めましょう」と当然のようにテープ(当時はまだカセットテープ使用)をかけ始めたのでした。 

 

 そしてなんと私の自信のなさを見透かしたかのように最初に私が指名されました。パニック状態の頭で何とか訳をひねり出したものの、自分でも良い出来とは言えないとっ散らかった訳とパフォーマンスになってしまいました。(これについては【私が通訳になるまで28】にも書きましたが、やはり通訳学校の先生方は超能力の使い手かと。)

 

 私の訳を聞いた先生からは溜息まじりに、「冒頭でそれでは、この通訳さん先が思いやられる...と思われますよ」とひとこと。鋭い視線から目をそらすこともできず、唇にぐっと力を込めて「はい...」と答えるのが精いっぱいでした。

 

 しかしながら私へのコメントはまだ優しかった方。中には「文章構成がへたくそ」と言われたり、「普段の話し方から変えなさい」なんて言われる人もいて、今思い出しても非常に心臓と胃に負担のかかった2時間でした。

 

 何よりも驚いたのは入門科の時とは全く違う先生の姿勢でした。入門科では指摘されなかったことまで細かく厳しく指摘されたその日の授業内容から、今日この日から「プロとして通用するかどうか」を基準に全てのパフォーマンスを評価されるのだと思い知らされました。

 

 この頃にたまに書いていたmixiの日記を読み直してみたら、「心機一転、頑張るぞ!」なんて威勢の良いことを書いていました。こんなものはお察しの通りただの虚勢で、あえてこんな言葉を使って自分を鼓舞しなければ真っ直ぐ前を向いていられないほどに、不安でいっぱいのスタートでした。

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