こんにちは、英語同時通訳者でオンライン英語・通訳講師の山下えりかです。
今日は定期更新日ではありませんが、どうしても記事にして残しておきたいことがあり、また内容がおさんずラブについて語った記事を凌ぐ勢いの惚気話であるため、クリスマスイブのこの日にアップすることにしました。
記事にしたかったこととは、先日最終回を迎えたTBSドラマ「大恋愛~僕を忘れる君と」についてです。元々私がムロツヨシさんが好きで、彼が本格的なラブストーリーに挑戦ということで興味を持ち観始めたのですが、観て行くうちにその内容にどんどん引き込まれて行きました。
このドラマを観ていないという方のために簡単に内容を説明します。ネタバレありなので知りたくない方はこの先は読まないでください。
女医で主人公の尚(戸田恵梨香)は引越センターでアルバイトをする間宮真司(ムロツヨシ)と出会います。何度か会ううちに尚は真司が、自分が一節を暗唱するほどに惚れ込んでいる小説の作者であることを知り、2人は恋に落ち、紆余曲折を経て結婚します。しかしながら尚は真司と出会った当初から軽度認知障害を患っていて、二人の関係が進むのと同時進行で尚の病状は進行し若年性アルツハイマーを発症。刻一刻と大きくなる不安と闘いながら一秒も無駄にすることなく2人がお互いを全力で大切にし、病気が奪う記憶と時間と一瞬一瞬の想いを真司が小説という形で記録する、熱くて哀しい愛の物語です。
私がこのドラマにどうしようもなく引き込まれた一番の理由は、とても自分と重ねやすい作品だったからです。具体的には、私と主人が間宮夫妻と同じように相手を唯一無二のパートナーだと強い確信を持って一緒にいるという点や、間宮夫妻は尚の病気のため、私たち夫婦は32才という年の差のため、常にタイムリミットを意識した関係であるという点、そして尚が小説家・間宮真司の一番のファンであるように、主人もまた通訳者&英語通訳講師の私の一番のファンであるという点も共感ポイントでした。
私は年齢も性別も超える運命の相手というのは存在すると考えています。そして私が人生のパートナーに決めた相手はその「運命の相手」だと確信しています。ここまで想える相手と出会ったことは本当に幸運なことだと思いますし、そんな相手と出会って一瞬でも気持ちが通じ合ったのなら私の人生はこの先何があっても幸せな人生と言い切れると、主人と付き合い始めた当初思ったものでした。
その一瞬が一秒になり、一分になり、一日になり、数年になりました。あの時の気持ちは少しも変っていませんが、幸せな時間が長くなればなるほど、欲が出てきます。この人を、この時間を、この空間を、少しも失いたくないと。
以前主人の友人(今では私の友人でもありますが)と飲んだ時、こんなことがありました。10年以上前に離婚したその方が、「俺ら結婚する時にさ、結婚10周年にダイヤモンドを贈るってのが流行ってて。それが嫌で10年経ったら別れようって言ってたんだよね」と冗談めかして言ったのです。
昨日今日の付き合いではないしただの冗談なのは分かっていたのですが、私はシラフだったくせにうっかり熱くなってしまい、「10年後があると思えるなんて贅沢ですよ。私は明日が無いと思って主人と一緒にいるんですから!」と大真面目に返してしまいました。あの時は単純に彼のその発言が本当に羨ましかったのです。
ちなみにその友人は私の発言に一瞬ハトマメ状態になっていましたが、その場に一緒にいた別の友人も含め私の話を笑ったり茶化したりしない温かい人たちと出会えたこともまた、主人と結婚して良かったと思うところです。
こんなことを日常的に考えながら生活している私がこんなテーマのドラマを観てしまったら、毎回頭が痛くなるほど泣くのは当たり前です。もう途中からは苦しくて苦しくて、観るのが辛いほどでした。
ちなみに主人は特に大きな病気を患ってはいませんし、現在66才ですが年の割にかなり元気です。普通なら今すぐどうにかなるなどという心配はしないのだと思います。それなのに常に「明日いなくなってしまったらどうしよう」などと考えてしまうのは、それだけ私にとって主人の存在が大きいからです。
サイマルアカデミーで一番辛かった最後の1年間、私を誰よりも近くでで力強く支えてくれていたのは主人でした。英語はできない人ですが、日本語でできる勉強にはいつも楽しみながら付き合ってくれて、弱気になる私をいつも励ましてくれて、精神的に苦しい時には黙って寄り添ってくれました。サイマルを卒業してからは通訳者としての私の成長を誰よりも楽しみにしてくれました。私が自分でサイトを作ってみようと思う、ブログで色々発信して行こうと思うと言った時には諸手を挙げて賛成してくれて、完成したサイトを見て一緒に喜んでくれました。
毎回こつこつと続けていたブログを基にした本の出版のオファーがあった時、最後の原稿を書き上げた時、5月に見本誌が届いた時、紀伊國屋本店で平積みされた私の本を見た時、誰よりも興奮して感動してくれました。校正を担当してくれた方々を入れたとしても、私の本をこの日本中で一番読んでくれたのは私の主人だと断言できます。それくらい、毎日毎日とても大切に読んでくれています。
また昨年からは私の仕事量が増えたこともあり、主人がマネージメント業務を担ってくれています。主人は私の一番の理解者であり、支援者であり、ファンであるだけでなく、仕事ではマネージャーとして、プライベートでは夫として、私の生活に欠かすことのできないとても大切な人です。そんな相手を失うことを一瞬でも考えたら、怖くなるのは当然なのだと思います。そこに年齢差という障害がありタイムリミットが漠然とでも見えているのならなおさらです。そういう意味で「大恋愛」は、私は尚ではなく真司の目線で観ていたことが多かったように思います。
付きまとうタイムリミットへの意識はこれほどの痛みを伴うものであることはどうしようもない現実ですが、辛いことばかりではないことにこのドラマを観て気づきました。それは、一秒も無駄にできないという気持ちが常にあるために相手への気持ちに手を抜くことがないということです。大切な人を亡くした時に「もっと大切にすれば良かった」という言葉をよく聞きますが、少なくとも私はこの後悔だけはしないで済むだろうという自信と安心感があります。時に押しつぶされそうにもなる不安の中に、ひとつの救いを見出すことができたのも、このドラマのお陰です。
またこのドラマの中ではもう一組、共鳴したカップルがいました。尚の母の薫さん(草刈民代)と、尚の元婚約者の侑市さん(松岡昌宏)です。侑市さんは尚が真司と出会ったことでふられてしまいますが、アルツハイマー病の権威であることから婚約解消後も尚の主治医として尚と家族との関わりを続け、その中で尚の母と惹かれ合って行きます。侑市さんから薫さんへのプロポーズのシーンは、このドラマの中で一番のお気に入りのシーンです。以下いくつか台詞を抜粋します。
(「目を覚ましなさい」という母に向って)目が覚めたからこうなったんだ。見合いをして好きでもないけどバランスの良い相手を見つけて無難に生きていくなんて、そんなの... それに僕は薫先生が好きだ。
(薫さんに向って)医師同士としても理解し合えますし、何より僕が安心して心を解放できるのは薫先生しかいないんです。
(母に向って)お袋が思い描いたような息子になれなかったけどこれが、最も自分らしい生き方だと思ってる。
(薫さんに向って)薫先生、改めて言います。僕と一緒に並んで生きてください。
「安心して心を解放できる」「一緒に並んで生きて」とても素敵な表現です。そんな相手との出会いは人生最高の贈り物です。
ドラマ「大恋愛~僕を忘れる君と」、特に最後の2話は観ているのが辛くてまぶたが腫れるほど泣きましたが、大切な人との大切な時間を見つめ直す機会を与えてくれたとても素敵なドラマでした。年末年始にまたまとめて観ようと思います、笑。
それでは皆様、Merry Christmas!