令和 - Beautiful Harmony

 

 こんにちは、英語同時通訳者オンライン英語・通訳講師の山下えりかです。

 

 今日で平成が終わり、明日から令和の時代が始まります。平成最後となるこの記事では、新元号である「令和」の英語目線での考察とこの点における日本政府の不手際について、またこの改元について私の感じたことや想いを綴りたいと思います。

 

 それではまず、「令和」を英語目線で考察します。新元号が発表された2019年4月1日、英語系のメディアはそれぞれ次のように「令和」を紹介しました。

 

 

 各英語系メディアの第一報を見て私が一番しっくりきたのはBBCの”Order and Harmony”でした。この画像では”order”を「命令」としていますが、”order”には「秩序」という意味もあります。「秩序と調和」とは日本の社会性をとても的確に表現した良い解釈と表現だと思いました。

 

 しかしながらこれほどまでに各メディアの英訳や解釈がバラバラだったことに、私は違和感を覚えました。いくら元号の選定が極秘で進められたものであったとしても、195ヵ国もの政府に同時に一斉に通知するものであったのならば、その公式な解釈を英語で付け加えることは日本政府の義務であったはずなのです。日本政府がそれをしなかったがために、速報で伝えた海外メディアの解釈が「文字の持つ意味の辞書的な解釈」に留まってしまい、その結果これほどまでに様々な解釈が出てきてしまったのです。

 

 今時ビジネスシーンでは、小さな会社であっても名刺に会社名や役職の正式な名称を日英両言語で表記することが常識となっています。新しい政党ができた時なども結党を表明したその日から正式な英語名称が採用されます。発信元が決める「公式な英訳」はメディアや通訳翻訳者を含めそれを伝える側にとっては最も重要な情報です。それにもかかわらずまさかこんなに重要な歴史的な発表に「英訳」が用意されていなかったのは、政府の不手際であり残念としか言いようがありません。

 

 このことについては下記ニュース記事にも書かれているのでご参照ください。

 

安倍官邸は逆ギレ「令和=命令と平和」英訳まねいた不手際

 

 英語系メディアでの訳語の混乱を経て、元号発表の翌日の4月2日に外務省が公式な「令和」の英語での説明を”Beautiful Harmony”と発表しています。分かりやすくて良い表現ですし、ニュアンスも原典にとても近いものだと思います。元号の選定がいくら発表当日ギリギリまで調整が必要だった作業とは言え、原案が絞られた時点でそのすべてに英語表現を用意して議論を進めていればこんなことにはならかったはずです。

 

 今回の元号の英訳に関する政府の不手際は、日本の国際感覚の鈍さを露呈したものだと私は感じました。日本の時代が変わる象徴としての改元を各国政府に「発表」をするのなら、その意味や内容まで「伝える」ものでなければなりません。次の改元がどのように行われるかはまだ分かりませんが、ぜひこれを教訓として「伝えることの大切さ」を考えた発表にしてほしいと願います。

 

 元号の発表に関する政府の不手際を責めるのはこのくらいにして、ここからは私がこの改元について感じたことを語りたいと思います。

 

 天皇陛下が退位のお気持ちを表され、ご存命中のご譲位が決まった時、私はどこかでほっとした気持ちになりました。私の父方の祖父は天皇陛下と同じ年の生まれで、年々弱って行く祖父の姿と陛下のお姿を重ねていたところがあったからです。

 

 祖父とはたまに帰省する時に会うだけになっていましたが、ただ歩くだけでも大変そうな祖父の姿を見ていると、祖父と同じ年齢で日々いくつものご公務をこなされていた天皇陛下はどれだけ大変なのかと、テレビでお顔を拝見するたびに考えるようになり、「お気持ち」を公表された時には「早くゆっくりしてほしい」と心から思いました。

 

 その祖父が昨年亡くなり、私のこの気持ちは更に強くなりました。ご譲位されたからと言って陛下のご公務が全てなくなると決まっているわけではないとのことですが、少しでも身体的また精神的なご負担が減り陛下がリラックスした時間を過ごされることを心より祈っています。

 

 また天皇陛下のお年やお体のこととは別に、私はこの改元がこの形で実施されたことをとても素敵なことだと思っています。従来の改元は、時の天皇陛下のご崩御を受けて行われてきたものです。そのためこれまでの改元は今回のようなおめでたい雰囲気では行われなかったと聞いています。(昭和から平成になった時には私はまだ4歳だったので何も覚えていません。)

 

 今回のように国全体で喪に服すこともなく、めでたい雰囲気の中、それも全国民が様々な準備をして新しい時代を迎えられることは、とても良いことだと思うのです。そしてこのタイミングに合わせて10連休というこれまでになかった大型連休を作るというのも、国を挙げてのお祝い事という感じがしてワクワクします。(私は10連休中ずっとレッスンですが、笑。)これからもぜひ新しい時代の幕開けはこうであってほしいなと思わせてくれた改元でした。

 

 明日から新しい時代、「令和」が始まります。物心ついた時からずっと平成だったので、しばらくは「平成...じゃなくて、令和...」と頭の中で考えて「平和」と言ってしまいそうですが、笑。(4月1日から既に何回かやっています。)

 

 新しい時代が、麗しい調和(Beautiful Harmony)と「平和」な時代となることへの祈りを込めて、平成最後の記事を終えさせていただきます。令和になっても引き続き、お付き合いいただけたら幸いです。

 

 

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