こんにちは、英語同時通訳者でオンライン英語・通訳講師の山下えりかです。
上記の通り、私は現在通訳業の傍ら、オンラインで英語講座、通訳講座、また英語(通訳)レベルチェック&学習アドバイスなどを開講しています。単発・継続を含めこれまで多くの方にご受講いただき、その都度各受講生のパフォーマンスを分析しそれぞれに必要な学習アドバイスをして参りました。
初心者から上級者まで様々な英語レベルの受講生を見てきた中で、レベルを問わず非常に多くの方に共通するある課題に気づきました。今回はその課題についてお話しします。
初心者にも上級者にも共通する課題、それは「英文法の知識と定着」です。
誤解の無いように先に書いておきますが、私が「英文法の知識」と呼ぶのは、「これは第3文型だ」とか、「これは不定詞の名詞的用法だ」などと、それぞれの英文を「文法用語を使って分析&解説できる能力」のことではありません。
私が常々すべての英語学習者に必要だと主張している「英文法の知識」とは、「言いたいことを英語で正確に表現するために必要な単語を必要な順番で並べる能力」や、「聞いた英文を正確に解釈するための英語の構造に対する知識」、つまり英語を使う上でのルールのことです。
それでは「英文法の知識」が欠如しているとどのような障害が生じるのか、それぞれのレベルで見てみましょう。
初心者から中級者の場合、英語の使い方のルールである英文法の知識が不足していると、「複雑な会話になると理解ができない」または「言いたいことを英語で表現するために単語をどう並べれば良いのかわからない」という壁にぶつかるケースがよく見られます。
この場合複雑な文法を使わなくてもできる旅行先での会話や簡単な友人同士の会話レベルまでなら何とかなりますが、文法の知識がないままでは一般的なビジネスシーンであってもその場に相応しい英語を身につけることは困難です。
※「伝われば良い」の危険性についてはこちらの記事をご参照ください。
次に英語上級者の場合です。通訳者を志すような英語上級者に英文法が課題となるというのは意外に思われるかもしれませんが、必要となる英語力が高くなればなるほど、またその英語力が必要とされる場の格式が上がるほど、英語に対する正確な理解が不可欠となります。
このレベルの学習者にとって、文法の勉強は遠い過去のことになっている場合がほとんどです。しかしながら高いレベルで英語を使うようになると、以前まではうろ覚えで問題無かったような文法知識も非常に重要な意味を持つ可能性があるため、一度改めて学習し直すことが大切です。
これは通訳者を志すのであれば猶更です。通訳者とは自分ではない誰かの言葉を正確に理解しなければならない立場ですので、話の背景知識を入れておく以前に、言葉自体の理解に不安があってはいけません。万が一にもどこかに穴があると、それは大きなミスに繋がり、通訳者としての信用を失いかねません。
また通訳講座を開講している講師としての見解を述べると、TOEIC900を超える受講生の中でも、安心して「問題無い」と言えるほどに文法知識を固めている人は残念ながらごくわずかです。そのため必要な人には、嫌がられようとも文法の学び直しを強く勧めています。
それでは、文法の学び直しにおすすめの参考書をいくつかご紹介します。
【初級者から中級者向け】
中学英語教科書ガイド
中学英語教科書ワーク
初心者から中級者には中学校の教科書をおすすめします。中学レベルの文法を完璧にマスターすれば、会話に困ることはほぼなくなります。ただし、「完璧にマスター=意識しなくても正しい文法が分かる/使えるレベルまで定着させること」が鍵です。
中学レベルだからと言って侮るなかれ。文法の嫌われ者の代表格「現在完了形」や「関係代名詞」なども、中学校で習う文法事項です。しかもこれらは頻繁に日常会話に登場する文法ですから、必ず押さえておきたいところです。
【上級者向け】
高校英語教科書ガイド
一問一答式英文法・語法問題集
もちろん上級者であっても、中学の英文法から学び直すのがおすすめです。その上で更に高いレベルの英語を身につけるためには、高校レベル(大学受験レベル)の英文法も必須となります。
2冊目の『スクランブル』は大学受験用の一問一答式の構文問題集です。「こんなの本当に役に立つのか」と思われるかもしれませんが、ここに出てくる構文はネイティブ同士の日常会話では当たり前に使われているものがほとんどです。例え自分が使うことが無くても相手が使った時に分からないようでは困りますので、ここもしっかりと固めておくと安心です。
次回はそれぞれの参考書のおすすめの使い方をご紹介します。中学の教科書ガイドの使い方については自著『初心者のための英語学習ガイド』の中でも紹介していますので、次の更新日まで待てないと言う方はぜひ購入をご検討ください(^_-)-☆