こんにちは、英語同時通訳者でオンライン英語・通訳講師の山下えりかです。
前回の記事では初心者から上級者まで英語を学ぶ多くの人に共通する課題である「英文法の知識」の重要性について解説し、おすすめの学習書を紹介しました。今回はそれぞれの学習書のおすすめの使い方についてお話しします。
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【初級者から中級者向け】
『中学英語教科書ガイド』
『中学英語教科書CD』
中学英語の教科書ガイドをおすすめする理由は、教科書の本文、本文の和訳、文法の解説が一冊で全て揃うからです。教科書本文の読み上げCDと一緒に購入すると尚良しです。
おすすめの使い方を順番に並べます。
①本文と和訳を黙読して内容を把握する。文法事項の解説をよく読む。
②CDを流して読み上げのお手本を聞く。(単語の発音の仕方や文章の抑揚のチェック。)
③CDを一文ごと流して繰り返す、リッスン&リピート。(発音を意識。)
④本文と和訳を一文ごと交互に音読。(日本語での意味を意識。)
➄本文(英語)のみを通して音読。(英語の内容・英文の構造を意識。)
⑥CDを流しながらのシャドーイング。(上記全てに加え英語の抑揚・リズム・スピードを意識。)
参考記事:シャドーイングのやり方(お手本)
教科書の本文は内容を意識しながら読み上げをしましょう。その際、各文章の文法要素も頭の中で分析できると実際に使う際の精度を上げる効果が期待できます。
『中学英語教科書ワーク』
教科書の内容に沿った練習問題集は、全問正解できるまで解きまくるのみです。何度も反復練習できるように直接書き込まず、ノートに解答を書き出す形がおすすめです。何度も解くことで、「覚えた文法を実際に使う」経験を頭と体を使って繰り返し、反応速度を上げて行きます。
【上級者向け】
『高校英語教科書ガイド』
高校英語の教科書ガイドは中学のものとは異なり、本文の和訳が載っていないことがほとんどです。とは言え教科書の本文と文法事項の解説は載っているので、このレベルの学習者には十分親切な内容と言えます。
以下、おすすめの使い方と順番です。
①本文を黙読して内容を把握する。文法事項の解説をよく読む。
②本文に和訳を付ける。(訳せるところまで理解できているか確認。)
③本文と和訳を一文ごと交互に音読。(応用レベルの英語表現とその日本語の意味の確認。基礎的な通訳の練習としても有効。)
④本文(英語)のみを通して音読。(全体の確認。)
『高校英語教科書CD』
高校の教科書の読み上げCDも販売されているので、必要に応じて購入し、リッスン&リピートやシャドーイングに使用するのも良いと思います。英語上級者でシャドーイング初心者という人には使いやすい教材でしょう。しかしながら「上級者向けの文法学習法」としては上記4点で十分なので、あくまで必要な人だけでよろしいかと思います。
『一問一答式英文法・語法問題集』
大学受験用の一問一答式問題集です。中にはマニアックな問題もありますが、自信を持って英語を使いこなすためには知っておいて損はないものばかりですし、通訳者を目指すのであればmust-knowな表現や熟語が満載です。「一日〇ページ」とノルマを決めて、毎日の筋トレのように続けることをおすすめします。
ここまで初級者から中級者向けと上級者向けに分けておすすめの学習書と使い方を紹介してきました。全てに共通して言えることは、どれも目指すべきは丸暗記または全問正解ということです。教科書であれば本文が頭の中でループ再生されるようになるまで、問題集であれば時間をかけずにスラスラと問題を解き全問正解できるようになるまでです。そうすることで常に正しい文法を意識する習慣を作り、実際に英語を使う際に強く意識しなくても文法知識を使えるようにすることが最終目標です。
「暗記なんて英語学習にはナンセンス。会話は実践で学ぶべし。」という反論が聞こえてきそうですが、初心者の場合、自分の言いたいことを相手に伝えるため、また相手の言っていることを理解するために、会話に必要な最低限の単語や表現を覚えていること、また簡単なものであっても(簡単なものだからこそ)英語をルールに則り組み立てたり理解したりすることができることは必要最低限の準備です。無い袖は振れません。まずは「実践に必要な知識」を身につけてから、たくさん実践して学びましょう。
上級者の場合も同様に、求められる英語レベルが高くなればなるほど、盤石の基礎の必要性が増して行きます。そして同時に英語への深い理解が不可欠になって行きます。基礎文法や構文の勉強から長らく離れているからこそ、今一度基本の見直しが重要です。
初級者も中級者も上級者も、英語学習で伸び悩みを感じたらぜひ一度立ち止まり、自分の目指すレベルに対してそれを支えるための十分な基礎力が備わっているかどうかを考えてみて欲しいと思います。そして足りていないと思った際には、ここで紹介した学習書や学習法をお役立ていただけたら幸いです。