こんにちは、英語同時通訳者でオンライン英語・通訳講師の山下えりかです。
シャドーイングは、リスニング、スピーキング、発音、リズム、スピード、語彙、表現、集中力のすべてを鍛えることができる、とても効率的な学習法です。毎日短時間でも筋トレのように習慣化して練習を続けることで、大きな効果が期待できるため、オンライン講座の受講生ほぼ全員におすすめしています。そしてシャドーイングについて最もよく出る質問が、「スクリプトを見てもいいですか?」です。今回はシャドーイングをやる際のスクリプトの使い方についてお話しします。
参考リンク:
同時通訳者Erikaが実演「シャドーイングのやり方(お手本)」
✔ 基本は「耳だけで拾う」
シャドーイングは「耳だけで情報を拾うこと」に慣れるための訓練でもあるため、シャドーイングにおけるスクリプトの利用について、私はかなりの慎重派です。「通訳者を目指すならすべて耳だけで拾いなさい」というのがサイマルアカデミーの指導方針だったこともあり、私自身はシャドーイングにスクリプトは使用しません。すべての単語を耳で拾えるまで同じ箇所をやりこむので、聞き取れない部分の確認のためにスクリプトを見るということも基本的にしません。
このため理想としては、すべての人におすすめしたいシャドーイングのやり方は「スクリプト無し」です。
✔ スクリプトを使うタイミング
とは言え「聞き取れない箇所で毎回集中力が切れて続けられなくなってしまう」や、「どうしても聞き取れない箇所がある」という悩みがあるのも事実で、その解決のためにスクリプトで確認をしたいというのはもっともです。
そのため、「これ以上は耳だけでは無理」というところまで精度を上げてからであれば、「確認のためにスクリプトを使用すること」は問題ないでしょう。
✔ 「スクリプトを読みながらシャドーイング」はNG
ただし、「スクリプトを見ながらシャドーイング」は絶対にNGです。先述の通り、「耳だけで情報を拾うこと」がシャドーイングの目的のひとつでもあります。一般的に視覚情報は聴覚情報よりも刺激が強く、内容が文字として頭に残ってしまいがちです。シャドーイングをしながら頭の中で文字を追うようなことになってしまうと、シャドーイング本来の目的から外れてしまいます。原則としてシャドーイングは何も見ずに音だけで行い、スクリプトはシャドーイングの前または後に内容を確認する時にだけ使うようにしましょう。
✔ 自分に合った教材を選びましょう
どうしてもスクリプトを見ながらでないとできないという場合には、教材のレベルを見直すことをおすすめします。あまりにレベルが高すぎる教材にいきなり挑んでも、レベルが合わなければついていくことはできません。まずは「少し頑張ればついていける」くらいのレベルの教材を選び、シャドーイングという練習自体に慣れましょう。
参考リンク:シャドーイング教材の選び方
✔ スクリプトの入手方法
中学や高校の教科書のリスニングCDを教材として使用する場合は、内容はすべて教科書に載っているので、リスニングCDに対応している教科書または教科書ガイドを購入しましょう。
YouTubeの動画を使用する場合には、字幕機能を活用するのが効率的です。また英語圏の政治家のスピーチを使用する場合には字幕機能のほか、「政治家の名前 + スピーチのタイトル + transcript」で検索をするとスクリプト全文が手に入る場合もあります。
✔ シャドーイングの仕上げに
私は、英語のシャドーイングについては「完コピできるまで同じ箇所を毎日やり続ける」を勧めています。この方法でシャドーイングをやって行くと、次の教材や同じ教材の次のパートに移る頃には繰り返しやり続けた箇所はほぼ完ぺきにシャドーイングできるようになっているはずです。
そこでその教材またはそのパートのシャドーイングの仕上げとして、全体をディクテーションして自分でスクリプトを作ることをおすすめします。それまで音で認識していた情報を書き出すことで改めて気づくこともありますし、 文字に起こすことで細かいことにも意識が行くようになるので、さらに学習効率が高まります。またスクリプトはディクテーションの答え合わせにも役立ちます。
✔ 継続は力なり!
「聞きながら話す」シャドーイングはその作業自体簡単なものではなく、慣れるまでには時間がかかります。そのため、まずは辛抱強く続けることが大切です。分からないから、できないからと言って、最初からスクリプトに頼らずに、まずは自力でできるところまでやり、スクリプトは上手にヘルプとして利用して行きましょう。
次の記事:同時通訳者Erikaの今年の英単語2019 - Have faith in yourself!
前の記事:マイナビ「進路のミカタ」にインタビュー記事が掲載されました
お薦め記事:
同時通訳者Erikaが実演「シャドーイングのやり方(お手本)」
コメントやご質問はお問い合わせページからお願いします。