こんにちは、英語同時通訳者でオンライン英語・通訳講師の山下えりかです。
前回の記事でお話しした通り、この度私は十数年来の夢を叶え、北海道札幌市で新生活をスタートさせました。今回はこの引越しの記録を記事に残しておきたいと思います。何かと難しいフリーランスの引越しの一例ということで、どなたかのお役に立てたら幸いです。
✔ UR(都市再生機構)
ご承知のとおりフリーランスという働き方は収入が安定しないという理由から、賃貸契約の際に不利になることがよくあります。また今回は東京から札幌への引越し、それもコロナ禍ということで、不動産屋回りや部屋の内覧、契約等々で何度も東京と札幌を行き来することを避けたいという強い思いがありました。
そこで私が選んだのは、UR(都市再生機構)の賃貸住宅です。これを選んだ理由は主に以下の2つです。
1.家賃の一時払い制度(家賃1年分前払い制度)があったから
2.内覧省略可&電話と郵送で部屋の申し込みができる
✔ URの家賃一時払い制度とは
これは契約時に1年(~任意で10年まで)の家賃を先払いする制度です。
もちろんURでも月払いの制度はありますが、その場合収入審査があります。具体的には月々の収入が家賃の4倍以上であることが必要で、一般的な賃貸住宅よりも厳しめです。
その一方で一時払い制度を利用する場合、収入に関する条件はなく、収入を証明する書類の提出も不要です。基本的にはよほど問題のある人物(例えば反社会的勢力など)でない限り、審査に落ちることはないようです。必要な金額を用意すればフリーランスでも年金生活者でもすんなりと部屋を借りることができます。
収入不安定で敬遠されがちなフリーランスの部屋探しの煩わしさ回避のため、この制度があるというメリット一点でURに絞って部屋探しをすることに決めました。
ただしURは事業用の登録には使えない決まりなので、仕事用の住所は別に確保する必要があります。私は今月からセカンドポストのセカンドアドレス&転送サービスを利用しています。いわゆる私書箱のようなものです。
✔ 電話と郵送で申込可
もう一点URへの引越しでありがたかったのが、電話で仮申し込みができたこと、内覧を省略することで郵送で本申込ができたこと、対面でのやり取りは契約時の1回のみで済んだことです。
コロナ禍のこのご時世ですから、とにかく外出、それも公共交通機関を使っての遠出はしたくないという気持ちでいました。そこでまず札幌のURセンターに電話をかけ、契約までの流れについて質問したところ、上記の流れを教えてくれました。ちなみに本申込後約1ヶ月で契約&入居という運びになることもこの時伝えられました。
✔ 仮申込みから入居までの流れ
実際の引越しスケジュールはこのような感じでした。
1.URのホームページで希望の物件を探す。(4月上旬)
2.札幌のURセンターに電話をかけ、希望の部屋を仮申込。その際に内覧不要の旨を伝える。本申込の書類郵送のため住所を伝える。(4月15日)
3.申込書と必要書類(住民票と車検証のコピー)を返送。東京→北海道なので最低中1日必要。(4月18日)
4.電話で書類内容の確認後、本申込&契約日(鍵受渡日)の相談・決定。(4月21日)
5.日割分と先1年分の家賃の払込票が届く。(5月上旬)
6.契約日までに支払いを済ませる。領収証はとっておく。
7.東京の部屋を引払い、近所のホテルで一泊。(5月17日)
8.茨城県水戸市へ移動し一泊。(5月18日)
9.大洗港からフェリーに乗り苫小牧港へ。(5月19日~20日)
10.札幌へ到着しホテルにチェックイン。(5月20日)
11.領収証を持ってURセンターへ行き契約。(5月21日)
12.入居する建物の管理事務所(建物の敷地内)へ行き鍵の受け取り。(5月21日)
13.新居に初めて入る。(5月21日)
✔ 一度も実物を見ずに決めた部屋は...
最後の最後まで不安だったのは、実際に部屋を見ていなかったことでした。多少の問題には目を瞑ろうと覚悟をして行った結果、申込時に見た写真のままの状態で、感想は「思ったよりずっときれい」でした。建物自体は古いものの、部屋はきれいに直されていますし、約1カ月間住んでみて特に問題は感じていません。
ひとつ難点を挙げるならエアコン。北海道は家庭のエアコン普及率が極端に低いそうで、部屋もエアコンの設置を前提とした造りになっていません。そのためUR指定の業者さんにお願いをして、配管用の穴あけ工事とコンセント増設工事が必要でした。そしてようやく明日、エアコン本体の設置工事の予定です。工事の度にURに模様替えの申請書を出さなければならないのが面倒ではありますが、UR指定の方法での穴あけと電気工事なら原状回復義務は免除とのことなので必要な手間です。
こちらの友人たちには「家にエアコン?いらないよ」と言われました。実際今この時期でも朝と夜は寒いくらいなので、本州に比べたらエアコンが必要な時期が短いのは容易に想像できます。(夜はまだエアコンなしで快適に寝ています by 東京では4月からエアコンを使っていた超暑がり女。)しかしながら夏の暑い盛りに部屋を閉め切って仕事をする必要がある私には、どうしても欠かせないアイテムなのです。
✔ おわりに
部屋を見ずに引越し先を決めることは不安を伴いますが、外出や人との接触の機会を極力減らす必要のある今、私や夫にとっては東京-札幌間を複数回往復する方が不安だったので、この方法が最善と判断しました。これも新しいやり方のひとつだと思いますし、引越しに限らずこれから様々なもののあり方が変わり定着して行くのだと感じています。
今回この記事で共有した情報は、どれも私が引越し前に欲しかった情報です。URに問い合わせればわかることがほとんどですが、「まずはネット検索」という人も多いと思いますし、実際に誰かが経験した細かいスケジュールを見られる機会はあまりないと思うので、今後フリーランスでURへの引越しされる方の参考にしていただければと思い、ここに書き残しておきます。
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【About Erika】
職業:英語同時通訳者(個人/フリーランス)
現住所:札幌市
留学歴:3年(アメリカ)
特技:柔道(初段)、ピアノ(弾き語り)
趣味:料理、お菓子作り、食器屋巡り