こんにちは、英語同時通訳者でオンライン英語・通訳講師の山下えりかです。
世間はお盆休みですね。長期のお休みとなるといつもとは生活リズムが変わり、毎日続けてきた学習ルーティンも崩れがちです。そうすると真面目な人ほど勉強する時間を取れないことに罪悪感を持ち、焦ってしまい、せっかくの休暇を楽しめないなんてこともよくあります。サイマルアカデミーに通っていた頃の私がそうでした。
今日は私がその罪悪感を軽減させ、「楽しむ時は楽しんで、勉強する時は集中して勉強する」を実現させることができたある方法をご紹介します。
私が実践していた(している)「今日は勉強できなかった」の罪悪感を軽減するための方法とはズバリ、「一日の勉強量の最低ラインを設定すること」です。
サイマルアカデミーで通訳訓練を始めたばかりの頃、日々自分の実力不足を痛感し、やらなければならない勉強が山積みでした。時間に余裕のある日ならいくらでも勉強に時間を使えましたが、毎日そんなに多くの勉強時間を確保できていたわけではありません。また疲れてしまって体力的に勉強する余力が無い日もありました。
更に週末ともなれば家族で出かけることもあり、泊りがけの旅行となると一人の時間と場所を確保することなどほぼ不可能ですから、集中して勉強することはできませんでした。
勉強をしなければいけない焦りと、それ以外の生活も大切にしたい気持ちとの葛藤の中で私が決めたルールは、「毎日英語10分間、日本語5分間のシャドーイングを必ずすること」そして「そのノルマが達成できたら、その日は自分を許すこと」でした。
これは家族にも話して理解してもらい、旅行先でも「1日あたりこの15分間から20分間は勉強の時間なので集中させてください」とお願いして最低限の勉強時間を確保しました。(場所に限りのあるホテルの部屋などでは、「ごめんね、この時間だけ、静かにしていてください」とお願いしていました。)
このルールを自分の中に設けたことで、頭と気持ちの切り替えがスムーズにできるようになりました。遊びに行く時も出かける前に勉強を済ませることで、リラックスして心おきなく楽しむことができるようになりました。
疲れた日も同様に、いつまでも「ああ、勉強しなきゃ…」などと集中できない状態でだらだらと机にかじりつくことなどせず、この15分間のトレーニングをさっとこなし、それが終わったら早々にお風呂に入って横になり、体と頭を休めるようになりました。
また継続的に勉強をしている間は気持ちが張り詰めていることが多いので、あえて完全にリラックスする時間を作ることもモチベーションの維持のためには大切です。その点でもこの「最低ラインルール」は効果的です。
この「最低ラインルール」を設定する上でのポイントは、次の3つです。
- 持ち運びが容易でどこでもできるもの
- 一定量を保てるもの
- どんなに長くても30分以内で完結するもの
私の場合は時間を決めてのシャドーイングでしたが、リスニングなら同じく時間、単語なら語数、学習書ならページ数、音読なら語数またはページ数と、自分のペースとキャパに合わせて設定するのがおすすめです。
このルールは「毎日実施すること」を前提としていますが、私は体調が悪い時にまで無理してトレーニングをすることには反対です。そんな時は一旦勉強から離れ、少しでも早く勉強を再開できるように回復に努めましょう。勇気ある撤退も時には必要です。特に喉が痛い時に無理にシャドーイングをするなど言語道断です。少なくとも、私はそんな無茶はしませんでしたし、今もしていません。健康管理もプロの、また全ての働く大人の、大切な仕事です。
「体調不良で少し休んだくらいでは影響ない」と思える自信をつけるための、「毎日のトレーニング」なのです。
英語学習であれ通訳トレーニングであれ、忙しい毎日の中で時間を削り出して学習を続けている人は真面目な頑張り屋さんです。それはとても立派なことです。しかしながらせっかくのお休みを楽しむことも、心身ともに大切なメンテナンスです。
お盆休みが始まり「休み中は勉強時間の確保が…」と悩んでいる人は、これを機に「自分の最低ラインルール」を作ってみてはいかがでしょうか。
それでは皆様、Have a good summer vacation!
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