こんにちは、英語同時通訳者でオンライン英語・通訳講師の山下えりかです。 ご訪問ありがとうございます。
「英語ができれば通訳もできるでしょ?」は今も昔も通訳が一般に理解されない職業であることを最もよく表現しているフレーズです。もちろんそうではありません。「英語ができる」と「通訳ができる」は全くの別ものです。そこで今回は通訳とはどのような作業であるのかを解説します。
✔ 通訳は脳の分割&分業
通訳とは、徹底的な脳の分割と分業です。脳内をタスクごとに細かく分け、複数の複雑なタスクを同時進行で実施する作業です。つまりタイトルにも書いた通り、通訳とは究極のマルチタスキングであると言えます。そのタスクのひとつひとつが通訳技術と呼ばれるものであり、それを高速で同時進行するマルチタスキングもまた通訳技術なのです。
実際に私はサイマル・アカデミーで通訳訓練を受けていた頃に、このマルチタスキングについてこんな風に感じていました。
通訳中の頭の中はまるで工場で、小さな自分(コビトさん)が大勢いて、 それぞれ役割分担(担当スキル)があって、全部がフル回転してかみ合って、「通訳」ができているのです。(2015年10月28日の記事より)
この感覚をもとにイラストレーターの幼馴染にイラストを描いてもらったのが、私の「通訳のコビトさん」たちです。
✔ タスク(通訳技術)の種類
実際に通訳の際に頭の中で同時進行しているタスク(技術)をリストにしました。(青文字をクリックするとそれぞれの技術を解説しているページにジャンプできます。)
1.聞く
4.要約
5.単語を探す
6.表現を探す
10.品質管理(訳のチェック)
12.感覚で時間を計る
13.話者になりきる
ここまでが通訳作業そのものに関わる技術です。更にこれに加えてこんなタスクもあります。
14.勢い
15.パニックの切り離し
16.パニックをなだめる
17.応援
18.俯瞰(ふかん)
言うまでもなく、上記すべてが通訳に必要な技術です。
そしてこれらすべての技術を習得した上で、すべて同時に、正確に、高速でこなすマルチタスキング能力が必要なのが通訳なのです。
✔ おわりに
通訳技術とは語学スキルとはまた別のスキルセットであることをご理解いただけましたでしょうか。
通訳者はいつも涼しい顔をして簡単に通訳をしているように見えるかもしれませんが、実際には脳内でこれだけの作業をこなしています。
通訳はまだまだ誤解されることの多い技術です。この記事をきっかけに、通訳とはどのような作業でありどのような技術であるのかを知っていただけたら幸甚です。
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