こんにちは、英語同時通訳者でオンライン英語・通訳講師の山下えりかです。
「英語ができるようになりたいです」という相談をよく受けます。最も多いパターンは「仕事で必要だから」ですが、中には明確な目標や目的がなく漠然と「英語ができるようになりたい」という人もいます。しかしながら英語学習を始めるにあたり一番大切なのは、明確な目標を設定することや目的意識を持つこと。なぜならそれが無いことこそが英語学習が続かない一番の理由だからです。
そこで今回は私が(仕事以外で)「英語ができて良かった」と思う時についてお話しします。趣味や個人的な楽しみとして英語を学ぶ人たちの目標設定や目的意識を持つことのヒントにしていただけたら嬉しいです。
✔ 英語ができて良かったと思う時
それではまず、私が仕事以外で英語ができて良かったと思う時を箇条書きにしてみましょう。
1.直にアクセスできる情報量が増える
2.字幕に縛られない気楽さ
3.視野が広がる
4.表現の幅が広がる
5.英語独特の表現に胸キュン
6.単純に英語を学ぶこと自体が楽しい
細かいものまで挙げればきりがありませんのでこれくらいにしておきます。それではひとつずつ見て行きます。
✔ 直にアクセスできる情報量が増える
義務教育から高等教育までのすべてを自国の言葉で受けられて世界中の情報が自国の言葉で手に入れられるというのは、日本の素晴らしい点ですし、これは日本が世界に誇るべきことです。
しかしながら欲しい情報や知識が必ずしもすべて日本語で手に入るとは限りません。欲しい情報が英語でしか公開されていないことは多いでしょう。誰かがそれを日本語に訳してくれることもあるかもしれませんがその分タイムラグが発生してしまいますし、正確な情報を手に入れたいと思うのであれば自動翻訳を100%信じるのにはまだまだリスクが大きいのが現状です。
すべての情報が英語で公開されているわけではありませんが、やはり日本語のみと比べると英語で得られる情報量は圧倒的に多く、それにタイムラグなしでアクセスできるメリットは大きいです。また翻訳や通訳はどうしても訳者の主観が入ってしまうため、「無色」の状態で情報を得ることができることも大きな利点と言えます。
✔ 字幕に縛られない気楽さ
「字幕なしで映画やドラマを観られるようになりたい」は多くの英語学習者が口にする「英語を学ぶ理由」のひとつです。確かにこれはできるようになると楽しいですし英語学習のモチベーションとしても有効ですが、それ以上に私が感じるのは、「字幕に縛られない気楽さ」です。
例えば私の場合、韓国語やフランス語などの映画を観ていると、言葉が全く分からないので観ている間中一瞬も画面から目を反らすことができません。字幕を見逃してしまうと話の内容が分からなくなってしまうからです。しかし英語なら少しくらい画面から視線を外しても内容が分からなくなることはなく、字幕を理解の補助として活用しつつリラックスしながら作品を楽しむことができます。
特に私の場合は映画もドラマも日本語以外では英語のものを観ることが多いので、日本語と同じようにある程度耳に任せて作品を鑑賞できるのはとても便利です。
✔ 視野が広がる
言語とはその言語が使われている国やコミュニティの文化と密接に関係しています。つまりある言語を学ぶということは新しい文化を学ぶことであり、その文化に根付いたものの見方や考え方を学ぶことでもあります。
自分が慣れ親しんだ文化や価値観とは全く異なるものに触れることはそれだけでもとても価値のあることですし、更にそれを会得すれば新たな「目」や「脳」や「心」を得ると言っても過言ではありません。
幼い頃から培った日本の文化と日本語の「目」と、それとはまた別の景色を見せてくれる英語の「目」の2つを持つことは文字通り視野を広げてくれます。日本語の考え方では理解できないことも英語の目線で考えれば腑に落ちるということもあります。2つの異なる価値観を持つことができることもまた、英語を学ぶことの魅力です。
✔ 表現の幅が広がる
日本語と英語はその背景にある文化も価値観も異なるので英語を学ぶことで「表現の幅が広がる」というのを不思議に思う人もいるかもしれません。しかしながらそれまで知らなかった表現を知ることは自分が使う日本語の表現にも少なからず影響します。
英語の表現をそのまま日本語で使う機会はあまりないかもしれませんが、例えば結論を先に述べる英語の論理展開に慣れることで、日本語で話す際にも論理的で分かりやすい説明ができるようになります。
✔ 英語独特の表現に胸キュン
私はこのサイト(Erika’s Japanese-English Services)とは別に、洋楽(英語)の歌詞和訳と文法解説のサイト(B.B. MAYBE)を運営しています。題材は主にアメリカのソウルミュージックで、月1更新という超マイペースの趣味サイトです。(たまにこちらのブログにも記事を編集して転載しています。)
ソウルミュージックのラブソングの歌詞には直接的で情熱的な愛の表現がちりばめられていて、英語ならではの素敵な言葉の使い方に何度聞いても胸キュンしています。これは音楽の歌詞だけでなく映画やドラマの台詞でも同様です。
誰かの作った和訳や字幕ではなく、英語をそのままとらえて自分の感覚で解釈を楽しむことができるのは、英語を学ぶ者の特権です。
✔ 単純に英語を学ぶこと自体が楽しい
私は中学生の頃から英語が好きで、「英語が好き」ということ自体が英語を学ぶモチベーションでした。中学生の頃は英語を使う機会と言えば授業とテストだけだったので、テストで良い点数を取るのが楽しくて勉強していました。高校では留学をして実際に使うことの楽しさを学び、大学も英語環境で生活する楽しさを優先してアメリカの大学を選びました。
「英語が好き、楽しい」だけで通訳者を志して大変な思いもしましたが通訳の仕事は楽しいですし、今でもやはり英語を学ぶことが好きです。新しい単語や表現に出会った時や、馴染みのある単語や文法の新しい使い方を知った時は毎回ワクワクします。
✔ 英語の楽しみ方は人それぞれ
ここまで挙げたものはあくまでも私個人の思う「英語を学ぶことのメリット」です。英語を学ぶ理由は学ぶ人の数だけあって良いと思いますし、特に趣味や個人の楽しみとして英語を学ぶのなら、何をどこまで学ぶのか、どう楽しむかも人それぞれです。
英語を始めて三日で飽きてしまったらそれはそれで仕方ないとも思います。しかしながらかれこれ20年以上英語に魅せられている者としては、もう少し続けてその先にある「楽しさ」に到達するために、「続ける理由」を見つけて欲しいとも思います。そしてもしもこの記事での私の経験の共有が誰かの「英語を学ぶ理由」になれたら、この上なく幸せです。