こんにちは、英語同時通訳者でオンライン英語・通訳講師の山下えりかです。ご訪問いただきありがとうございます。
2023年最後の記事となりました。今年も当ブログにご訪問くださった皆様、本当にありがとうございます。一年の最後は恒例の「同時通訳者Erikaの今年の単語」で締めくくりたいと思います。
私が選ぶ2023年の英単語は、"Generative AI(生成AI)"です。
✔ Generative AI 元年
2023年を表す単語はこれ以外思い浮かびませんでした。2023年は「AI元年」と呼べる年でしょう。事実このブログでは今年公開した記事の半分がAI関連でした。振り返ってみて自分でも驚いています。
Chat GPTが一般にリリースされたのが約1年前。日本で話題になったのが今年に入ってから。それ以降Chat GPTをはじめ様々な生成AIのサービスが怒涛のようにリリースされ、驚くほど短いサイクルで高度なアップデートやアップグレードを繰り返し、あっという間に世界が、そして時代が変わりました。個人的な感覚としてはこの1年で100年時代が動いたと感じています。
2023年は、テクノロジーの進化とスピードに、ドキドキ、ハラハラ、そしてワクワクし通しの年でした。
✔ 私と通訳講座と生成AI
私の生活で最もAIの恩恵を受けたのはオンライン講座の仕事です。私は教材の作成、対訳の作成、復習用音源の吹き込みまで全てひとりでこなしていますが、生成AIのおかげでかなり効率的に仕事ができるようになりました。今では複数の有能なアシスタントと共に仕事をしている感覚です。「AIのお陰で仕事が楽になった」とも言えますが、それよりも「AIのお陰でできることが増えた」という感覚が大きいです。
私がオンライン講座関連で頻繁に使用しているAIサービスはこちらです。
➤ Chat GPT
教材作成、レッスン予習用のサマリーやアウトラインの作成、対訳の参考、英訳表現のチェック、ブログのサムネイル生成に使用
Chat GPTについて一番嬉しかったのが「レッスン予習用のサマリーやアウトラインの作成」ができるようになったことです。これを事前に共有できるようになったことで、受講生には実際の通訳の仕事のように「事前資料を読んで準備」をしてもらえるようになりました。これは以前からやりたいと思っていたものだったのですが、ひとりではなかなか手が回らず実現できずにいたものでした。
Chat GPTのおかげでレッスンの質を上げることができ、それが実際に受講生の成長に繋がっている実感もあり、嬉しい限りです。
AI音声 (Text to Speech)機能を使用
Flex Clipは動画編集サービスなのですが、中でもAIによるテキストの読み上げ機能が優秀です。言語によっては様々なバリエーションがあり、声の種類(男性、女性、大人、子供等)が選べるだけでなく、読み上げのスピード、声の高さ、トーン(嬉しそう、悲しそう、ニュース、チャット、カスタマーサービス)なども設定することができ、しかも非常に自然な読み上げをしてくれます。英語だけでなく日本語の読み上げも自然であることが素晴らしいポイントです。
これまで復習用音源の吹き込みは私がひとりでやってきましたが、それでは変化がなく、受講生が私の声や読み上げだけに慣れてしまうことに不安がありました。このTTS機能が利用できるようになったことで、様々なバリエーションの復習用音源の作成が可能となり、これもまた私のレッスンの質を上げる大きな力となっています。
✔ 私と通訳とAI
今年は通訳に関するAIサービスも大きく進化した年でした。また私が3年前にこのブログで書いたAIと通訳の未来予想も大体読み通りだったと中間答え合わせができた年でもありました。うん、やっぱりこうなって行くかぁという感想です。
更に今年はポケトーク同時通訳とChat GPTの音声機能で逐次通訳をする方法について動画付きで紹介しました。
これらのサービスに限らず、AIを利用したサービスの精度は今後益々高くなることが予想できます。このテクノロジーの進化は常に知っておかなければいけませんし、また私たち通訳者がこれらのテクノロジーと今後どう付き合って行くべきかは、今、そして2024年に考えるべき最優先課題と言えるでしょう。
動画リンク↓
【YouTube動画】ChatGPTアプリで音声通訳&文字起こしができる!設定方法&プロンプト大公開!
記事はこちら↓
【AI通訳】ChatGPTが優秀な通訳になる魔法の言葉と新機能(プロンプト&音声会話の設定方法)
✔ 2024年とAI
Anthropic社(AIチャットボットClaudeの開発元)のCEOダリオ・アモデイ氏は先日公開されたインタビューで2024年を次のように予想しています。
➤ AIの精度は更に向上しビジネスで使えるレベルになる。
➤ AIの更なる進化は人々を更に驚かせる。
➤ AIツールを使えるかどうかが重要になる。
➤ これまで考えられなかったような変化が訪れるのは2025年以降。
つまり2024年は、2025年以降にやってくるであろう予想を超える変化に対応するために、AIを知り学び準備をするための年にしなければいけないということでしょう。
✔ おわりに
AI元年となったこの2023年はとても興味深く面白い年でした。始まる前から激動が予想される2024年も、受講生や読者の皆様とともに成長して行けるよう精進して参ります。
今年も当サイトとブログをご訪問くださり誠にありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願いいたします。
それでは皆様、よいお年をお迎えください。
次の記事:通訳の技術と経験をフル活用!コミュニケーション・ファシリテーターという生き方
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【About Erika】
職業:英語同時通訳者(個人/フリーランス)
現住所:札幌市
留学歴:3年(アメリカ)
特技:柔道(初段)、ピアノ(弾き語り)
趣味:料理、お菓子作り、食器屋巡り