20代の頃の理想と40歳の現状◆通訳の仕事、キャリア、生活、自己実現...人生前半戦を振り返る

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 こんにちは、コミュニケーション・ファシリテーター山下えりかです。ご訪問ありがとうございます。

 

 私事ですが3日後の2月2日は私の40歳の誕生日です。今は「人生100年時代」などと言われていますが、私が20代の頃には40歳は「人生の折り返し地点」と言われていました。私が何歳まで生きるかは分かりませんが、良い機会ですので、人生前半戦の振り返りをしたいと思います。

 

 とは言えただダラダラと思うことを書いたらまとまりがなくなりそうなので、以下2点に絞って書いていきます

 

1.20代の頃に思い描いていたこと・理想

 

2.それが今達成できているかどうか

 

 

 

✔ 20代の頃に思い描いていたこと・理想


 ブログの読者様の中にはご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、私の20代はサイマル・アカデミーをはじめとする通訳の勉強がほぼ生活のすべてでした。(ちなみに、サムネイルの左上はサイマル・アカデミーの教室内で撮った写真です。当時22歳。若い!)

 

 そして当時がむしゃらに勉強しながら私が思い描いていた将来の自分の姿や夢見た生活は次のようなものでした。

 

1.同時通訳者になってサミットと国連の通訳をする

 

2.サイマル・アカデミーで通訳の講師になる

 

3.オンライン完結の仕事がしたい

 

4.札幌に住みたい

 

 それではひとつずつ掘り下げて行きます。

 

 

 

1.同時通訳者になってサミットと国連の通訳をする


 サイマル・アカデミーに入学した時から、同時通訳者になるのは夢や目標ではなく私の人生における確定事項でした。入学当時21歳。まだまだ若かった私はその壁の高さも分からないまま、「難しそうだけど、もうやっている人たちがいる。だからきっと私もできる」と自信を持っていました。その後どれだけの目に遭ったかは、私の英語学習&通訳訓練の奮闘記『私が通訳になるまでシリーズ』をご参照ください。

 

 サイマル・アカデミーで同時通訳者を目指していた頃の私の私の目標、すなわち「同時通訳者になってからの目標」は、「サミットの同時通訳をする」と「国連の同時通訳ブースで通訳をする」でした。理由は単純で、そこが同時通訳者としての最高峰だと考えていたからです。更に外交や国際政治の舞台で活躍されていたサイマル・アカデミーの先生方がロールモデルとして近くにいたからというのもここを目指す理由のひとつでした。

 

 この憧れの舞台を目指して、英語も日本語も、政治も経済も国際情勢も、あらゆることを文字通り寝る間も惜しんで学びました。今思えば20代の若さと体力に任せた無茶苦茶なやり方でしたが、あれこそ若さというタイムリミットのある資源の正しい消費の仕方だったと、今、1ミリの後悔もなく言えます。

 

 

➤ 目標未達成でも新たな気づき


 さてそれでは、私はこの目標を達成できたのか?

 

 確定事項だったと書いた通り、私はサイマル・アカデミーを卒業して同時通訳者となり、同時通訳の仕事もしてきました。しかしサミットと国連の通訳はやっていませんし、今後目指す気持ちもありません。

 

  22歳で通訳の最初の仕事を受けてから17年余り、サイマル・アカデミーを卒業してからもうすぐ14年になります。この間色々な仕事をさせていただいて、気づいたことがありました。私は不特定多数の耳に届く一方通行の同時通訳よりも、話し手と聞き手の顔が見えて双方向のコミュニケーションの仲介ができる逐次通訳の方が好きであるということです。

 

 このことに気づいてから、無理に同時通訳のキャリアを追求することをやめました

 

 

➤ 顔が見えるクライアントとの大切な関係


 私は約10年前にこのサイトを始めてから、通訳エージェント経由ではなく個人で仕事を受けることが増えました。現在はほぼすべての仕事が個人でいただいている仕事です。新型コロナのパンデミック以降はオンライン通訳のみ、また私ひとりで受ける仕事なので、基本的には逐次通訳のみ対応しています。

 

 今何より嬉しいのは、この制約のある条件でありながら、多くのクライアントの皆様が私の仕事を必要としてくださっていることです。そして同時通訳のメリットを認識しながらも、私のオンライン逐次通訳を選んでくださるお客様がいらっしゃるということです。

 

 またクライアントと直接やりとりができるメリットは計り知れません。スケジュール調整も小回りがききますし、資料の共有や事前ブリーフィングの実施等の協力を仰ぐ際にも自分の言葉でその必要性を説明することで理解を得ることがより容易になります。

 

 更にリピートでご依頼いただくことで人間関係を構築することができ、それにより通訳の、ひいては会議の進行がスムーズになります。

 

 

 

➤ 「山下さんにお願いしたい」と言われたい


 通訳業を始めてから抱いていた憧れのひとつが、「山下さんにお願いしたい」と言ってくれるクライアントに出会いたいというものでした。

 

 以前、通訳の大先輩でサイマル・インターナショナルの専属通訳者の長井鞠子さんがテレビ番組で特集されていた際に、彼女が多くの政治家から厚い信頼を寄せられているのを拝見しました。それを見て、「私もこんな仕事がしたい」「私の通訳はあなたでなければ」と思われたいと強く思いました。

 

 そして今私も、「山下さんにお願いしたい」と言ってくださるクライアントと仕事をさせていただいています。自分が好き、得意だと思える逐次通訳で、「あなただから」と仕事を任せてくださるクライアントとお互いの顔を見て仕事ができていること。これは私にとって、20代の頃に抱いた目標以上に価値のある成果です。

 

 当時描いていた未来とは異なりますが、通訳者として、今が幸せと迷いなく言うことができる日々を送っています。

 

2.サイマルの先生になる


 サイマル・アカデミーで通訳を学んでいた当時から、私はサイマル・アカデミーの講師になりたいと思っていました。こんな風に目標に向かってひたすら勉強する人たちの指導ができたら楽しいだろうなと、卒業後にいつか巡ってくるチャンスを思い、いつも先生方を観察していました。

 

 こちらもサイマル・アカデミーで講師になることは叶いませんでしたが、こうして自分でオンライン講座を開講して通訳の指導をすることができていますし、個人的には目標は達成できていると思っています

 

 講座の指導内容を考える際には当時サイマル・アカデミーで先生方を観察していた経験を活かすことができました。この講座は、私がサイマル・アカデミー在籍当時にサイマルの講師を目指していたからこそできた講座です。

 

 また私の講座はサイマル・アカデミーとは異なり1対1のプライベートレッスンなので、ひとりひとりの受講生にじっくり向き合うことができます。大規模な同時通訳よりも小~中規模の逐次通訳の方が好きというのと同様に、レッスンでも私にはグループレッスンよりもプライベートレッスンが向いていると思います。

 

 こちらも当初目指した結果とは異なりますが、より自分に合う現状になっていると感じています。

 

 


3.オンライン完結の仕事がしたい


 静岡の実家からサイマル・アカデミーに通っていた頃、そして地方ではまだまだ英語を活かせるバイトも仕事も少なかった頃、よく思っていたのが、「インターネットで通訳やレッスンができれば場所は関係なくなるのになぁ」でした。あとは元々出不精なので、家にいながらできる仕事がしたかったというのもあります(笑)。

 

 しかし当時はまだ今ほど簡単に個人でウェブサイトを作ることもできなければ、SNSも未発達で、これはただの夢に過ぎませんでした

 

 こんな風に思っていたのが21歳の頃。このサイトを立ち上げたのが30歳の時でした。それから更に10年後の今、当時ただの夢だった「オンライン完結の仕事」は通訳・レッスンともに現実のものとなっています。

 

 これは当時の思いそのままの形で達成できました。仕事の5分前まで化粧をしていて、リビングから仕事場まで徒歩3歩という夢のような仕事環境を実現できています。Yes! (*´▽`*)

 

 

 

4.札幌に住みたい


 札幌への引っ越しも20代前半からの夢でした。そう、「夢」でした。

 

 20代前半で初めて札幌を訪れ、「ここに住みたい」と直感しました。理屈ではありませんでした。(個人的には前世がコロポックルだったんじゃないかと思っていますが...笑)

 

 その後も何度も札幌へは遊びに行きましたが、そこに住むのは現実的ではありませんでした通訳の仕事や英語を使う仕事は東京一極集中だったためです。通訳者として生きていくためには、東京を離れるのは無理だと感じていました。

 

 ところが新型コロナウイルスのパンデミックをきっかけに社会のデジタル化が一気に進み、私の仕事もオンラインのみでできるようになったことで、いよいよ場所を選ばずに仕事ができる環境が整いました

 

 そして4年前、コロナ禍真っ只中に札幌へ引越してきました。ここに挙げたものの中では一番時間がかかりましたが、あの時願った通りになっています。

 

 

✔ 予想外の成果(出版)


 1から4は20代の頃に思い描いた未来でしたが、この20年弱の間には当時は思いもしなかったことも起こりました。

 

 中でも一番はやはり自著『初心者のための英語学習ガイド』の出版です。

 

 きっかけはスモール出版の編集者さんが私のブログを見て声をかけてくださったことでした。本を出すというのは自分の人生プランの中に入れたこともありませんでしたが、とても貴重な経験になりましたし、私の人生の中で大きな意味を持つ出来事だったことは間違いありません。

 

 

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✔ 目標に向かって努力すれば道は開ける


 この20年弱の間に、できたこともできなかったこともありました。ただし「できなかった」と言うよりは、「やっていくうちに目指すものが変わった」と言う方が正確だと思います。

 

 思い描いた通りになったこともそうでなかったことも、どちらにも共通して言えるのは、「目標に向かって努力した結果」であるということです。

 

 通訳では、サミットや国連のブースを目指してしていた努力は間違いなく今の私の通訳を形作っています。

 

 講師の仕事では、サイマル・アカデミーで学び先生方の指導内容や指導法を観察した経験が今のオンライン講座として実を結んでいます。

 

 大切なのは自分で進む方向を決めて絶え間ない努力を積み重ねて行くこと。そうすれば途中でもっと自分に合った道や思いがけない道が開けることもあるようです。

 

 

✔ おわりに


 20年間弱の話ですのでまだまだ書き足りない気持ちもありますが、これくらいにしておきます。

 

 こうして振り返ってみて思うのは、ここまでの人生の選択に後悔はひとつもないということと、そう思える今が一番幸せであるということ、そしてそのための努力を続けることの大切さです。

 

 そろそろ人生も後半戦。引き続き悔いのない人生を歩むために努力を続けて行こうと思います。

 

 

 

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【About Erika】

職業:英語同時通訳者(個人/フリーランス)

現住所:札幌市

留学歴:3年(アメリカ)

特技:柔道(初段)、ピアノ(弾き語り)

趣味:料理、お菓子作り、食器屋巡り